2013年5月16日木曜日

63.マシュー以前-パパとママの大惨事

今日は実家に帰っていたので、ママの病院に同行してきた。
ママは3年前に大病を患い、それから定期的に通院をしている。
血圧と肥満が命にかかわる、爆弾を抱えているママだが、
今現在、私の目の前で・・・


病院に行って、久しぶりに大変だった時期のことを思い出したので、
”しましましゅー”を愛読してくれているママに反省をしてもらおう、
あの頃の思い出話をば。

3年前の秋、私のアパートにヨシオと私、姉カオリと弟ナオト、
珍しく兄弟3人が揃ってゴハンを食べようとしていた。
するとそこにパパから電話が入った。
ママが倒れて救急車を呼んだ、これから病院に行くが、
認知症のおばあちゃんを1人に出来ないから、誰か急いで帰宅してくれと。
3兄弟がすっ飛んで電車に駆け込み、片道90分の家路についた。

突然胸が痛いと倒れこんだママは、
そのまま深夜ぶっ通しの手術となった。
術中の死亡率もとても高い、深刻な状況だった。
にも関わらずだ、そんな重篤な状態でのママのまさかの発言にパパは脱力した。
看護婦さんが体重を確認しながらカルテに記入していたのだろう、

看護婦さん 「はーい、ママさん、体重●●kgねー」
ママ 「ち、ちがいます、●●kgです」

看護婦さんの言った体重より軽い体重を自ら申告、訂正したようだ。

看護婦さん 「・・・このベッド、体重計になってますからねー」


手術室に向かう前、最後になるかもわからなかったパパとの会話は、
「冷蔵庫の中のお味噌汁は古いから食べないでね」だったという。

まぁ、そんなものなのかもしれない。
こんな大惨事も日常のなかの出来事なのだ。
しかし術中の待合室で、ナオトがそのセリフにずっと突っかかってた。
「その会話が最後だったらマジ笑えねーんだけど」、と。

我々家族は一睡も出来ないまま朝を迎え、
無事ママの手術は成功し、胸を撫で下ろしたのも束の間。
当時パパは仕事でちょっとエライポジションだった。
その日はとても大切な入札があり、
すぐに連絡が出来るよう携帯電話のメールアドレスを教えてくれと
部下の人より言われたようだ。
携帯電話のメール機能をまったく使用したことのないパパに頼まれ、
私はメールアドレスを調べて、会社の人に送ろうとしたのだが・・・


センチメンタルパパ・・・びっくり仰天なメールアドレスが設定されていた。
パパにその旨伝えると、失笑しながら「仕方がないだろ、有事だ・・」。
オトコらしい!潔く現実を受け入れた瞬間が私には見えた。
これを送ったら、パパは会社で”センチメンタル”と言うあだ名が
ついてしまうんだろうなぁ、
あーあ、とメールアドレスを会社の人に送信したのだった。

しかしなんなんだ、このアドレスは!!ママーっ!!!
と怒りたいが、当の本人は人工呼吸器に繋がれている。
容態がいつ急変してもおかしくない数日間、
病院でママに付き添っていたパパは、頻繁に会社に電話を入れていた。
そのたびに私は胸が痛かった。


後日、意識の戻ったママにこのことを問い詰めると、
どうやら”Sentimental Rose"というバラの品種の名称より取ったということだった。
イングリッシュガーデンに憧れるママは、中でもバラが大好きだ。
ママの病状が心配な中、パパはただでも大変なのに、
頭お花畑なママのせいで、とても恥ずかしい思いまでしたのであった。

そんなことを思い出した本日の昼下がり@病院
ママは高血圧だが、私はとても血圧が低い。
寝起きはしばらく動けないほど、血圧が低い。


ちなみに、ママが救急車で運ばれた日、
私はヨシオに全部片付けといてね、
と言って食事の始まったばかりのテーブルをそのままに家を飛び出した。



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