2013年3月25日月曜日

11.トキドキナオト(1)


ナオトは私の2才下の弟。同じ街に住んでいる。

2011年の3月11日の大震災、
私たちの住む地域もかなりの揺れに襲われた。
私はちょうど実家に帰省をしていた。

静岡出身のヒサンは、幼少の頃から地震の英才教育を受け、
地震大恐怖症になっていた。
3月11日の震災の翌日、ヒサンが居候をしているカキさん宅には、
なんとあの混乱の最中お母様が観光に上京されることになっており、
ヒサンは朝イチで追い出されることになっていた。

ヒサンのパニックを心配した弟ナオトは、
ヒサンを迎えに行き(ご近所)、
私が帰京するまでかくまってくれることになった。


夜、ヒサンから電話が入った。
ナオトがヒサンに味噌汁を作ってくれているという。
いい話ではないか。
あいつも優しい男に育ったではないか。

が、しかし、ヒサンからの入電には理由があった。
味噌汁の具がナスだというのだ。
これは大問題だ。
ヒサンはナスが食べられない。


余震も徐々に数が減った頃、
あれは今のような桜のきれいな季節だったか、
ナオトはカキさん宅へ件の物申しに行った。

しかし予想外の出来事に出会ってしまう。
カキさんが入れてくれたお煎茶がとても美味しかったのだ。

ナオトはお茶の淹れ方にうるさい。
フツフツ沸いたお湯を急須に入れるなんざ言語道断、
茶葉の量、湯の温度、器、甘味と渋味のバランスに、色・・・・。

なんとカキさんの淹れるお茶はパーフェクトだった。
ナオトの心象はガラリと変わった。

結果、悪いのはヒサンになった。
カキさんはなんにも悪くない。
大人なんだからひとりでしっかりしなさい、と
その会はヒサンへの説教となったのだった。

ちなみにマシューはカキさんがとても好き。
毎日遊びに来てくれるヒサンのことはもちろん大好きだけど、
その100倍くらいカキさんが好き。
うっとり恋する瞳になってしまうのだ。

余談だが、震災翌日、ナオトとヒサンはイソジンを飲んだりしていた・・
親切にも私の分も買っておいてくれたらしい。
さすがの私も呆気にとられた。


2 件のコメント:

  1. ウィン君にハハ2013年3月25日 9:57

    ン~微妙ですが・・・同じ女性としてはヒサンさんに1票。
    結婚30年目を迎えるウィン君のハハですが、チチは未だに母親には逆らえず大好き(マザコンとも言う)、でも優しいチチです。
    この齢になるとあきらめもつきますが・・・カキさんも親を大切にする優しい人と言う事です。
    マシュー君、ナオト君に抱かれてホント安心しきって寝てますね!
    皆に愛されているんですね!!

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  2. ☆ウィン君のハハさん☆
    こんばんわ。いつもありがとうございます!
    なるほど、やっぱり母は偉大なわけですね。
    今日からしばらく仕事が立て込むので、
    マシューはしつけ教室にお泊りとなりました。
    久しぶりにマシューのいない我が家はとても静かです。
    いれば大変、いないと寂しい、んー。
    でも、マシューがトイレをすっかり忘れてマーキングをしまくっていたせいか、臭いだけはそこはかとなく漂っているのです…涙。
    掃除しなくてはです・・。

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